「出雲弁・他の方言・俗語」 と 「ハングル」 の文末語
出雲弁は文末に「~に」「~じ」「~がな」「~がや」・・などをつける。「行かない」を「行かんに」「行かんじ」、「食べる」を「食べえに」「食べえがや」、「話す」を「話すけん」「話すに」、「降る」を「降うがな」「降うじ」などと言う。また、出雲大社の近郊では「~にゃ」をつける傾向があり、「本当だな」が「本当だにゃ」、「買うかね」を「買うかにゃ」などと言う。ニュアンスは異なるにしても、これらに類似した文末語がハングルにもある。東京弁の「~さ」、大阪弁の「~や」、石見弁の「~けえ」、山口弁の「~じゃ」なども、ハングルでよく使われる文末語である。
出雲弁とハングルの文末語
いわゆる「ずうずう弁」なるものは日本海沿岸に顕著な音である。中国語の音も似ているが、この音はハングルでも目立つ。それは、朝鮮が中国の隣国であるためかもしれない。朝鮮南部は日本に近い。釜山から対馬までは、山上から見える距離にあり、海がないでいれば櫓舟で日帰りできるという。釜山の日本の会社で働いていた知人が、朝、釜山を出て対馬で一杯やり、夕方には帰ったことがあると述べていた。中国人が東シナ海を航海して渡来したとか、朝鮮半島の北側を海岸沿いに南下したという話もあるが、飛鳥~奈良時代でさえ困難なルートであるから、中国人が倭国へ渡来するなど想像を超えている。
従って、朝鮮に近い倭国(縄文・弥生時代は不毛の原野が支配的)へ渡来した人々は、原野開拓の夢をもち、開拓地によって直接利益を得る朝鮮人であったと推測するのが自然である。中国人も「ずうずう弁」であったということは、間接的な影響の問題であり、倭国へ「ずうずう弁」を直接もたらした人々は、特に、朝鮮南部の農民であったと考えられる。
縄文晩期 約7.5万の人口を、この列島に散在させれば、各地域の人口は雀の涙ほどになる。縄文人(一万年間の原住民)は、気候に恵まれた太平洋側に移住したであろう。出雲地方は雨と雪が多いので敬遠されたに違いない。にも拘わらず、弥生時代、出雲地方は朝鮮人だらけであったと言われるのは何故だろうか。よく言われるように、当時、出雲地方は倭国の表玄関であった。朝鮮からの渡来人は北九州、出雲へ先ず渡来して来た。それを証明するものが、北九州、出雲の史跡、文化史の視点から顕著に伺える。
出雲が明らかに朝鮮半島と拘わりをもつもの(多くの学芸員が謎だと称している)には、「日本一の銅剣の発掘」「銅鐸の発見」、当時としては「世界一高い木造建築大社宮」、「日本神話の中心地」「たたら流しの発祥地」「神在月」「スサノオの渡来地」「まが玉の発祥地(出雲の石が朝鮮に運ばれ勾玉の材料にされた、韓国の国旗のシンボルは勾玉を象徴し、勾玉は嬰児(生命の根源)を表す」「日本一多い神社」「古事記に見られる朝鮮語の多さ」・・などがある。
下記にあげた言葉のハングルの発音はローマ字表記のため正確ではない。一応の目安として参照してください。尚、日本語では「木<き/ぎ>」「田<た/だ>」となるように、ハングルでも「ㄱ<k/g>」「ㄷ<t/d>」音になる。また、「어」は「o」音として表記されるが「a」音にも近似している。母音は音域が広いために、英語などでも「o」音が「a」「u」音になり、「a」音が「o」「ei」音などになる。下記のハングルの発音はなるべく日本語の音に近似する方を選んでいる。
~かあに=~거니<koni/kani> [~のに]
金持ちだかあに寄付せんだ 私は知ってるかあに私を知らんだ
~かあに=~거니<koni/kani> [~から/ので]
暗かったかあに見えなかったよ 僕も見たかあに君も見なさい
~がな=~구나<kuna/guna> [~がね/ね]
よくできたがな おいしいがな 親切だがな 知らんがな
~かにゃ=~거냐<konya/kanya> [~のか/か]
行ったかにゃ 悲しいかにゃ うれしいかにゃ 誰が来たかにゃ
~かや=~거야<koya/kaya> [~かね/かい]
君も行くかや 今食べるかや いつ来たかや 正しいかや
~がや=~거야 <goya/gaya> [~よ/がね]
忙しいがや いいがや 暑いがや 寒いがや 高い山だがや
~けん=~군<kun> [~ね/よ]
明日は寒いけん 彼はいい人だけん この水は冷たいけん
~けんね=~겠네<kenne> [~からね/よ]
ここで 待つけんね すぐ行くけんね バスに乗るけんね
~けんよ=~군요<kunyo> [~よ/ますね]
とても忙しいけんよ いま晴れてるけんよ 大変曇ってるけんよ
~じ=~지<ji> [~だろう/よ/ね]
誰が作ったじ その花は綺麗だじ 食べたくないじ 彼は学生だじ
~じよ=~지요<jiyo> [~でしょう/ますか/よ]
僕がすうじよ これいくらだじよ 米がないじよ 会いたかったじよ
~じよ=~죠<jo> [지요<jiyo> の縮約]
勿論だじよ 晴れるじよ なんにもないじよ 僕も行くじよ
~せえよ<俗>=~세요<seyo> [~せよ]
歩きなせえよ 食べなせえよ 勉強しなせえよ 座りなせえよ
~だ=~다<da> [~よ/ます/です]
わからんだ おれが行くだ とても大きいだ 自信がないだ
~だが<たが>=~다고 <dago/tago>[~だってば/だって/そうだ]
僕は厭だが 彼が一番だが 暑かったが 本当だが
~たに=~더니<toni/tani> [~たのに/たけど]
おとなしい学生だったに ここは寂しかったに そこは池だったに
~だに=~다니<dani> [~なんて/とは/だそうで/そうだが]
彼が行くだに 彼女が作うだに 必ず来うだに 駅にいただに
~たん<俗>=~던<ton/tan>
楽しかったんあの時節 果樹園だったん 所 貧しかったん昔
~たんでよ=~던데요<tondeyo/tandeyo> [回想/自問/反省]
彼はだれだったんでよ 事件があったんでよ 大学院をでたんでよ
~ちょう(じょう)=~죠<cho/jo> [~してる/ますよ/ますか]
今も信じちょう 彼と話しちょう まだ寝ちょう 入院しちょう
~で=~데<de/te> [~だったよ/してたよ/だったかね]
きれいだったで たくさん来てたで 平社員だったで 寝ていたで
~なあよ=~나요<nayo> [~なるよ]
病気に なあよ 品切れに なあよ 台無しに なあよ 雪に なあよ
~ないだ=~아니다<anida> [~ないよ]
註: 音韻倒置語「anida<아니다>→naida<ないだ>」
芸術家ではないだ 僕がしたことではないだ 日本人ではないだ
~に=~니<ni> [~の/ね]
用事で来たに その本を読んだに よく寝たに 花は綺麗だに
~に=~니<ni> [~かね]
どこへ行くに いつ見たに なにを食べえに だれと遊ぶに
~に=~니<ni> [~から/ので]
最後だにがんばれ お金がないに買えん 休み時間だに休んでいいよ
~に=~니<ni> [~よ/から]
寒いに暑いにと騒ぐ 嘘はよくないに 試験に落ちたに
~にゃ=~냐<nya> [~ね/かね]
なぜ泣くにゃ 何したにゃ どのくらい広いにゃ どんな考えかにゃ
~ますのだ<masunoda>=~습니다<sumnida>[逆成語]
明日行きますのだ すぐ帰りますのだ 来年は仕事をやめますのだ
~るかに=~ㄹ거니<lkoni/lkani> [~るのか/るかね]
どうするかに 行くかに止めるかに 彼女と結婚するかに
~るかや=~ㄹ거야<lkoya/lkaya> [~るかね]
もう帰るかや 新たに作るかや もう寝るかや 何をたべるかや
~るかにゃ=~ㄹ거냐<lkonya/lkanya> [~るのか/~るか]
寝るかにゃ 行くかにゃ うれしいかにゃ 誰が来たかにゃ
~るかや=~ㄹ거야<lkoya/lkaya>
合格するかや もうやめるかや 映画を見るかや 何時に寝るかや
~るがや=~ㄹ거야<lgoya/lgaya> [~るがや:~るがね/るよ]
退学 するがや 食べるがや すぐ 作るがや 出発するがや
~んかにゃ=~ㄴ거냐<nkonya/nkanya> [~んかね]
小さいんかにゃ 高いんかにゃ 来たんかにゃ 悲しいんかにゃ
~んだに=~ㄴ다니<ndani> [~んだね/んかね]
誰が行くんだに 何を作るんだに いつ 返すんだに 泊まるんだに
~んだに=~ㄴ다니<ndani> [~んだって/~そうよ/~だよ]
彼が行くんだに 彼女が作るんだに 私も食べるんだに 帰るんだに
~んかや=~ㄴ거야<nkoya/nkaya> [~んかね]
行くんかや お前もするんかや 止めたんかや 合格したんかや
他の方言・俗語
~かよ=~까요<kayo> [~かね/かい]
映画をみるかよ 一杯やるかよ 一緒に行くかよ 酒を飲むかよ
~けえ=~게<ke> [~よ]
もう行くけえ 僕が買うけえ 大事になあけえ 駅で待つけえ
~けえ=~게<ke> [~かい/かね]
どうするけえ 何時に行くけえ いつやめるけえ なぜ来るけえ
~けえ=~게<ke> [~から/ので]
大事故だけえ驚いた 金がないけえ買わん 仕事がないけえ休む
~けえ=~기에<kie> [게<ke>の類語]
来いと言うけえ来た 学者だけえ知っている 大事だけえ駆けつけた
~さ=~서<so/sa> [~さ:~で/ので/から] [o<어>=a 通音]
時間がなくてさ行けそうにないさ 調査してさ連絡しますさ
~じゃ=~자<ja> [~しよう]
酒を飲もうじゃ 出発しようじゃ 食べて見ようじゃ 明日合おうじゃ
~じゃな=~잖아<jana>[俗] [~じゃない/だよ]
君の責任じゃな それは偽物じゃな 僕のカバンじゃな 着いたじゃな
~じゃん=~잖아<jana>[俗] [~じゃない/んだ]
結婚したじゃん あるじゃん あげたじゃん 何もないじゃん
~ずら=~더라<dola> [~です/よ]
値段が高いずら よく食べえずら 夢だった ずら 寒いずら
~せよ/せえよ=~세요<seyo> [~しなさいよ]
歩きなせえよ 座りなせえよ 勉強しなせえよ 起きなせえよ
~たんでよ=~던데요<tondeyo/tandeyo> [~たのよ/たのに]
来てたんでよ 学者だったんでよ 送ったんでよ 帰ったんでよ
~で=~데<de/te> [~よ/~かね]
綺麗だったで 寝ていたで 上手だったで 本当だったで
~ないや=~아니야<aniya> [逆成語 aniya=naiya]
芸術家ではないや 学者ではないや 事故じゃないや
~のや=~느냐<nunya> [nunya→nuya][~のか]
どこにいるのや 本もないのや いつ来たのや 誰が作ったのや
~ますのか<俗>=~습니까<sumnika> [音韻倒置 sumnika→musnika]
時間がありますのか どこにいますのか この本を読みますのか
~ますのだ<俗>=~습니다<sumnida> [音韻倒置 sumnida→musnida]
お願いしますのだ 一緒に食べますのだ 行って見ますのだ
~や=~야<ya>
あれは河馬や これほんまや 大きな鳥や ひどい雨や 人気や
~よ=~요<yo>
私はよ ここでよ それならよ 待つけえよ 行くけえよ
~よった=~였다<yotta>
喜びよった 結婚しよった 遊びよった 変わりよった 売りよった
~るかにゃ=~ㄹ거냐<lkanya/lkonya> [~るのか/るか]
寝るかにゃ 仕事を始めるかにゃ 何するかにゃ ここにおるかにゃ
~るかや=~ㄹ거야<lkoya/lkaya>
合格するかや もうやめるかや 映画を見るかや 何時に寝るかや
~るかよ=~ㄹ까요<lukayo> [~るかね/~るかい]
いま食べるかよ 本をあげるかよ 服を売るかよ 一緒に泊まるかよ
~るけえ=~ㄹ게<luke> [~るよ]
明日訪ねるけえ 午後晴れるけえ 彼女が着るけえ 電話するけえ
~るけえよ=~ㄹ게요<lkeyo> [~るよ]
探して見るけえよ 明日来るけえよ 僕は降りるけえよ 教えるけえよ
~るけえよ=~ㄹ거예요<lkoeyo> [~るけえよ:~るよ]
留学するけえよ 成功するけえよ 鐘が鳴るけえよ 雪が降るけえよ
~んかにゃ=~ㄴ거냐<nkonya/nkanya>[~んかね]
行ったんかにゃ 悲しいんかにゃ うれしいんかにゃ 来たんかにゃ
~んかや=~ㄴ거야<nkoya/nkaya> [~んかね/んかい]
今日も忙しいんかや こちらがいいんかや そんなに重いんかや
~んで=~ㄴ데<unde>[~だから/だけど]
顔色が悪いんで少し心配だ 退屈なんで酒でも一杯やろう
~んでよ=~ㄴ데요<unde> [~だけど]
お土産を買いたいんでよ 時間を確認したいんでよ 棄権したいんでよ
~んや=~느냐<nunya> [nunya→unya]
なぜ泣いているんや 何を食べてるんや なぜ欠席したんや
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