朝鮮語は7000年前にわかれたか?
ネットのブログに「朝鮮語は7000年前ごろにわかれた、いやもっと前であるという説もでている。現在、日本語と朝鮮語が同じでないのはそのためである。」などと述べている学者らしき方がいます。言葉の歴史に疎い人がこれを読んだとき、さもあらんと思ってしまうかもしれませんが、常識的に考えて実に奇異な説であります。
なぜなら、上記のような考えは、朝鮮全土に共通語が話されていたという前提なしに成立しないからです。紀元前後ごろでさえ、色々な種族が広く群雄割拠しており、当時の社会環境(徒歩による移動困難・新聞などもなく)の影響もあって、言葉は種族ごとに異なっていたと推測するのが自然でしょう。従って、7000年前に「朝鮮語がわかれて倭国へ伝播した」という推測は、時代の総合的判断に欠けています。当時の言葉が文字として残っているはずもなく、仮に、口語言葉として残っていたとしても、方言だらけの言葉のどれを主たる朝鮮語と見たらよいのか推測できないでしょう。
日本語の場合について考えてみればよくわかります。現在でさえ、鹿児島弁と東北弁の違いが大きいように、古代日本の言葉は、各地域によって大きく異なっていたでしょう。奈良時代でさえ、交通が不便で近隣の人々との交流が困難、新聞・ラジオもなく、日本全土の共通語(一部の例外はあったにしても)があったなどと考えられません。まして2000年~3000年前に全土の共通語があったはずもありません。
今から7000年前と言えば縄文時代ですが、縄文末期約7.5万の人口しかなかった倭国へ、分裂した朝鮮半島の言葉がどのようにして伝播したでしょうか。当時、言葉の伝播は人の移動・移住によって行われていました。朝鮮からの渡来人が増えたのは弥生時代(約BC300~AD300)ですから、7000年前に分裂した朝鮮語が倭国へ伝播したと考える人の考えは飛躍しているでしょう。BC300年頃からと言っても、朝鮮半島の色々な地域から渡来して来たわけだから、渡来語は各種族の方言であったでしょう。従って、倭国へ伝播した朝鮮語の共通語は限られた量であったに違いありません。
ただこれだけの経緯からでも、7000年前に朝鮮語が分裂して倭国へ伝播したなどという考えは、合理的思考に欠けていることがわかります。日本全土に共通語が広まったのは明治時代以降であるように、韓国でも共通語が広まったのは新聞、ラジオなどが普及してからでしょう。「一つの言葉がわかれた」などという発想は、その時点で「わかれた」という事実が証明できなければ、信じる気持ちになれないでしょう。
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