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2012年4月12日 (木)

「ずうずう弁」 は日本で生まれたか?

日本列島の「ずうずう弁」は日本で自然に生まれたのでしょうか。中国や朝鮮半島も「ずうずう弁」が目立ちますが、日本から伝播したものでしょうか。日本が朝鮮を植民地化したのは終戦までの36年間です。当時の日本人で「ずうずう弁」を使う人は限られていました。従って、日本人が中国や朝鮮に「ずうずう弁」をもたらしたとは考えられません。

「ずうずう弁」と「ハングル」

通音」のため、ハングルの 「<wi>ウィ」 は 「医 衣 依 位 胃 偉 違 威・・」を表します。出雲弁や東北弁では「」音が「ウィ」「」になり、「ウィダエ<医大>」「フィラ<ひらめ>」「フィ/<>」「スィジミ<しじみ>」などと言います。これらの音は韓国語の音に似ています。

ずうずう弁」が日本海沿岸に顕著に見られるのは、日本海沿岸が朝鮮半島の対岸にあるからではないかと思われます。中国語は「ずうずう弁」が目立つので、朝鮮語の「ずうずう弁」は中国語の影響によるかもしれません。しかし、東シナ海を航海して中国人が日本へ来るのは容易ではありません。広大な耕作地をもつ中国人が、湿気が多い小さな島国へ、5万~十万と渡来するなど論外というものでしょう。中国人なら温暖な南部へ移動しようと考えるのが自然でしょう。

朝鮮半島、殊に南部に住んでいる人々が、人口も少なく稲作の容易な日本へ移住しようと思うのは当然でしょう。対馬海峡は寄港地として便利な島(対馬・壱岐)があるために、朝鮮南部から北九州への渡航が極めて容易であります。縄文末期約7.5万の人口が、弥生時代には60万になり、奈良時代には600万人になったという埴原和郎らのシミュレイションによる説は、渡来がいかに容易であったかを物語っています。

全栄来(全北日報論説委員、全北道立博物館館長、韓西古代学研究所所長)は、「対岸が見えるということは、渡航者に勇気を与え、さらに、対馬・壱岐の二つの島が渡航の要衝として役立ち、朝鮮人の渡来を容易にした」と述べています。

従って、出雲地方や東北地方に広がっている「ずうずう弁」は、渡来人の発音が広まったものと考えるのが自然でしょう。埴原和郎、小川修三らの考察によれば、弥生時代、原住民(縄文人の子孫)と渡来人の人口比は「約1対9.6」であったという。原住民は温暖な太平洋沿岸により多く住んでいたであろうから、日本海沿岸は渡来人だらけであったと言えます。

<i>」「<e><wi>」「<wi>」「<ie>は同系語か?

昭和23~25年頃まで、「<i>」による表記をよく見ましたが、この「」音はハングルの「<wi>」「<wi>」音に相当すると思われます。出雲弁の「うぃ(意思)」「うぃ(囲碁)」の「うぃ」は「」音だったのではないでしょうか。出雲弁の「うぃそ(医書)」と「의서<wiso>:医書」、「うぃど(緯度)」と「위도<wido>:緯度」の音はそっくりです。また、「」「」については、ハングルにも「<o>」「<o>」の二種ありますが、ローマ字ではこれらの2音の表記ができません。

」「<e>」から、ハングルには、類似音「<e>」「<ie>」「<ea>」の種類があることを想起する。「本」の出雲弁 「いぇほん」の「いぇ」はハングル<ie/e>」音に似ている。「<e>」音が使われていたということは、日本語は「」音だけを残して、「<ie>」音に相当する音「<e>」を廃語にしたのではないかと推測される。「<e>」「<i>」音が廃語になった理由は、概して「ずうずう弁」を厭う傾向があるためかもしれない。

うぃ」「<i>」「」「<e>」などの文字から、日本語の母音は現在より多かったのではないかと思われます。また、日本語における「ずうずう弁」の存在、「はひふへほ」がハングルでは「ぱぴぷぺぽ」になり、平安時代には「ぱぴぷぺぽ」と言っていたことなど、「」を比べるだけでも、深層的に恐ろしいほど関連している言葉であることがわかります。

漢字語の発音がそっくりな「出雲弁」と「ハングル」

漢字の発音を、出雲地方の「ずうずう弁」で言うとハングルに似ている。例えば、「とそくぁん(図書館)」と「도서관<tosokwan>」、「台数<daesu>」と

대수<daesu>」はそっくりです。

出雲弁  意識<uisiku> 胃酸<uisan> 改稿<kaeko> 過去<kwako>

ハングル 의식<wisik>   위산<wisan>  개고<kaeko>  과거<kwako>            

出雲弁  計算<kiesan> 継続<kiezoku> 謝礼<sale>  在住<zaeju>

ハングル  계산<kiesan> 계속<kiesoku> 사례<salie> 재주<zaeju>

出雲弁    舎監<sakan>  写真<sajin>   修理<suli>  小国<sokoku>

ハングル  사감<sakam>  사진<sajin>   수리<suli>  소국<sokuk>

出雲弁    書庫<soko>   消去<soko>    部署<buso>  代案<daean>

ハングル  소거<soko>   서고<soko>    부서<buso>  대안<daean>

出雲弁    台数<daesu>  内科<naekwa>  倍数<baesu> 枚数<maesu>

ハングル  대수<daesu>  내과<naekwa>  배수<baesu> 매수<maesu>

出雲弁    感心<kamsim> 居所<koso>    住所<juso>  医者<uisa>

ハングル  감심<kamsim> 거소<koso>    주소<juso>  의사<wisa>

出雲弁    図書館<tosokwan> 市民課<suiminkwa> 教科書<kyokwaso>

ハングル 도서관<tosokwan> 시민과<siminkwa>  교과서<kyokwaso>

 

出雲弁    内科医<naekwaui  関係団体<kwankedantae>

ハングル  내과의<naekwawi> 간계단체<kwankedanche>

          ―― 以下省略 ――

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