「日本語」か「韓国語」か? (5)
「まつり(祭り)」
「まつり(祭り)」と「받들이<battuli> まつること」は、その音と意味
から同系語と言える節がある。「받들다<battulda>」は「たてまつる」
「あがめる」「まつる」「支える」を意味する。語尾の「~다<da>」は
原形を表す接尾辞で基語は「받들<battul>」である。「まつる」は「あ
がめる」「差しあげる」「たてまつる」「ささげる」「祈祷する」など
の意味をもつ。従って、「奉る」「祭る」「祀る」は同意の言葉である。
「まつり(祭り)」は「まつりごとを行う祭礼(儀式)」を表す。
*「m=b=p 通音」→「馬<ma/ba>」「美<mi/bi>」「武<mu/bu>」「葉<ba/
pa>」「歯<ba/pa>」「匹<biki/piki>」「分<bun/pun>」「ㅂ<p/b/m>」
「ㅂ니다<mnida>」「반<ban/pan>」「습니까<sumnika>」。従って、
「battuli/pattuli<받들이>=mattuli<まつり>」。
* ハングルでは、用言の語幹に「이<i>」がつくと名詞になる。「먹다
食べる→먹이<mogi> 食べ物 えさ」「높이<nopi> 高さ」「길이<kili>
長さ」。「p=b=m通音」「ㅂ<p/b/m>」→「받들<pattul/battul/matt
ul> まつる」→「받들이<pattuli/battuli/mattuli> まつり(祭り)」。
*「하느님을 받들다 神様をまつる(祭る)」「선조를 받들다 先祖を
祭る」。
* 類語:「받다<patta/batta> 支える」「받치다<pattida/battida>
差し上げる ささげる 供える」「받침<pattim> 支え パッチム」。
「柱(はしら)」
日本語は単語の語尾に必ず母音が付加される。従って、語末音の母音を
取れば祖語音になる。例えば、「柱<hasila>」の祖語音は「hasil」である。
「柱(はしら):支えるもの」と「받들<pattul> 物が落ちないように支える」
は音と意味が類似している。「p=h 通音」→「歩<ho/po>」「葉<ha/pa>」
「畑<hata/pata>」「辺<hen/pen>」。また、「s=t 通音」「u=i 通音」
だから「pattul<받들>=hassil」。従って、「柱<hasila>」と「받들<pat
tul>」は同系語であると思われる。「받들<pattul>」の類語に「받치
<patti> 支える」「받침<pattim> 支え 支えるもの パッチム」「받다
<patta> 支える」などがある。
*「t=s 通音」→「지<ti> 指 至 紙 誌 枝 脂」「진<tin> 辰 真 疹
秦」「친<tin> 親」「차<cha> 車 遮」
*「p=h 通音」→「歩<ho/po>」「葉<ha/pa>」「畑<hata/pata>」
「辺<hen/pen>」。従って、「hasi=pati」「pattul<받들>=pattil=
hasil」。日本語は語尾に必ず母音がつくので「hasila<柱>」の祖
語音「hasil」。
「上(うえ)」
ネットに投稿された方が、「上<ue>」と「위<ui> 上」は同系語である
と言う人がいるけれどもたまたま似ているに過ぎないと憤懣をぶちまける
がごとく述べている方に出会う。直感的に、その方はハングルをあまり知
っておられないのではと思ってしまう。
「물은 위에서 아래로~ 水は上から下へ~」「팔을 위로 뻗치다 腕を
上に伸ばす」「산 위로 올라간다 山の上に登る」「地球の上に지구 위
에」「海の上を 바다 위를」「棚の上に 서반 위에」「机の上が 책상
위가」「品質が上だ 품질가 위다」「成績が僕より上だ 성적은 나보다
위다」「上から命令が~ 위에서 명령가」「上に報告する 위에다 보고
하다」「息子を上に二女がいる 아들을 위로 이녀가 있다」
上記の例文から「上<ue>」と「위<ui>」の使い方(性格)が同じであり、
文の語順・構成までが同じであることがわかる。ところが、「上<ue>」と
「위<ui>」は何となく似ているに過ぎず、そもそも「上<ue>」の語末音
「エ」と「위<ui>」の語末音「イ」は全く異なっている。無理にこじつけ
るのは止めるべきであると主張する方がおられる。
しかし、「エ」音と「イ」音は通音であることが、次のような例語からわ
かる。出雲弁の場合:「いも→えも」「いい子→ええ子」「いりこ→えりこ」。
ハングルの場合:「의<i>」は「e」音にもなる。「의<i> 衣 医 依 意」
「자네의<e> 君の」「아버지의<e> 父の」「연구의<e> 研究の」「나
의<e> 고향 私の故郷」。ハングルでは、語末の「이<i>」音は「오<o>+
이<i>」になると「エ」音になる。「회사<fesa> 会社」「괴<kwe> 塊
怪 壊」「쇠<swe> 鉄」。
上記の例語から「위<ui>」と「上<ue>」は音の立場からもとても似て
いると言える。単語の音の転訛による違いによって異語であると思いが
ちだが、一単語の「母音」「子音」という区別から見るとき、「母音」
「子音」の2音が一致する場合は同系語であると思われる。
「島<sima>」と「섬<som> 島」は両語の「s」「m」音が一致している。
「村<mula>」と「마을<maul>」は「m」「l」音が一致している。そのよう
な日韓語をいくつかあげるので同系語であるかどうか参照していただき
たい。
「곰<kom>
熊」「절<chol> 寺」「거미<komi> 蜘蛛」「고을<koul>
郡<kouli>」「들<tul> 取<toli>」「구름<kulum> 雲<kumo>」「위
<ui> 上<ue>」「울<ul> 浦<ula>」「남비<nambi> 鍋<nabe>」「갓
<kas> 笠<kasa>」「바닥<patak> 畑<hatake>」・・
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